2018 年 74 巻 5 号 p. I_1207-I_1212
長期の平均的な気候によって,陸域の水収支がどのように決まっているのかを明らかにするには,貯留量(土壌水分・地下水)を含めた理解が重要で,陸面水文モデルにおける土壌水分および地下水位の平衡状態に関する議論が必要である.本研究の目的は,全球スケールで地下水位および土壌水分の平衡状態が水文気候学的にどのように説明できるのかを明らかにすることである.そのために,同じような気候が長らく続いたと仮定した場合の,土壌水分および地下水位に関する平衡状態(気候学的平衡状態)の定義を提案した.地下水位の動態を考慮した陸面水文モデルを用いた解析の結果,陸域の約80[%]は気候学的平衡状態に達し,浅い地下水位はE/Pによってコントロールされている.一方,乾燥・半乾燥域では現在気候下では水文システムは遷移的な状態にある.