2018 年 74 巻 5 号 p. I_403-I_408
近年,中国地方の多くの河川において,外来沈水植物であるオオカナダモの異常繁茂が河川管理上の問題となっている.オオカナダモの生息条件等についてはある程度明らかになりつつあるものの,河川内で群落が定着する過程に関しては十分な検討がなされていない.
そこで,本研究ではオオカナダモの河床へ定着過程を明らかにするために一定低流速,変動流速,一定高流速という三つの異なる条件で切れ藻の生育実験を行った.その結果,オオカナダモの切れ藻は流速が一定の場合には新芽・根が成長し,その場で定着し繁茂拡大していくであろうことが明らかとなった.それに対して,一日ごとに流速が変動する場合には切れ藻は腐敗が進み,新芽・根が成長しにくいことが示された.