2018 年 74 巻 5 号 p. I_409-I_414
近年,水域における生物モニタリングの手法として,水中に浮遊するDNAの情報を調べることにより,水棲生物の生息状況を評価することができる環境DNA分析の技術が進歩しているが,河川をはじめとした流水環境中における環境DNA含有物質の動態に関しては不明な点が多い.
そこで,本研究では,流水環境である河川における環境DNA含有物質の動態の解明を目的に,(1)実河川における魚類アユの環境DNA含有物質の流下に伴う減耗過程に関する野外実験,(2)アユから採取したフンと粘液および体表組織の混合物を用いた室内静水条件下の沈降実験および(3)環境DNA含有物質の粒径分析,(4)野外実験を実施した実河川を対象に,一次元河川水・物質動態モデルを用いて,流水環境下での環境DNA含有物質の動態の再現を目的とした数値シミュレーションを実施した.