2018 年 74 巻 5 号 p. I_7-I_12
地球温暖化の進行による河川災害リスクを評価するため,領域気候モデルによる2km解像度の数値シミュレーションの降雨データをRRIモデルに与え,流出・氾濫シミュレーションを行った.鬼怒川・小貝川流域を対象として水位・流量・浸水区域を評価した.その結果,特に低い基準水位の超過頻度が顕著に増加することがわかったが,高い基準水位の超過頻度の変化は不明瞭であった.また,豊平低渇流量は増加傾向にあるものの,渇水流量の変化は不明瞭であった.さらに,浸水区域が顕著に拡大する頻度が増加する傾向にあり,地域への氾濫リスクの増大が示唆された.しかしながら,本研究における31年間の実験のみでは不確実性が大きいため,今後,さらにケースを増やして検討する必要がある.