2018 年 74 巻 5 号 p. I_793-I_798
木曽川で見られた深掘れの発生原因を明らかにすることを目的として,大規模な平面渦の発生機構に着目した.現地の河道平面形を模擬した,河岸の凸部と固定床・移動床の境界が存在する条件での実験を行い,現地と類似の洗掘が発生することが示された.また,河岸凸部と段落ちの存在する条件が大規模な平面渦構造を誘起するという仮説の下に実験を行い,流れの3次元構造を調べた.この条件下では,凸部の水はねによる偏流が下流の深い水深に入ることで著しく増幅され,強い大規模な平面渦を形成することが確認された.この平面渦が底面付近で大きな流速をもたらし掃流力を増大させることが,深掘れ発生の要因の一つと考えられる.