2018 年 74 巻 5 号 p. I_805-I_810
本研究では,既往の2つの掃流砂量の推定法,1)砂堆の伝播速度uwを用いた方法と,2)掃流砂層表面の速度ubを用いた方法を利用し,水面形状の伝播速度を用いたubの推定方法の提案を試みている.始めに,1)が 2)よりも1オーダー小さく評価され,砂堆の移動に寄与している掃流砂量は砂堆上のすべてではないことを示した.この結果より,砂堆上の掃流砂量の評価にubが欠かせないことが示された.そこで,伝播速度とubの関連式を提案し,ubの推定に必要なパラメータは勾配とcrestにおける波高水深比であることを示した.定常において,本推定法の結果は観測結果と±50%の差であり,一番寄与したのは伝播速度の計測結果であった.また,STVI法は骨格となる河床形状に応答した水面形状の伝播速度を計測でき,本手法に適した計測法である事が示された.