2019 年 75 巻 1 号 p. 112-121
総合確率法を拡張して水害リスクカーブを作成する方法に対して,新たに流域平均雨量と継続時間,空間的集中度の関連を考慮して,支川の年最大洪水ピーク流量の確率分布および水害リスクカーブを作成する支川総合確率法を提案した.支川総合確率法と従来手法によって,淀川流域平均雨量から桂川,鴨川,宇治川,木津川の年最大洪水ピーク流量の確率分布を推定した結果,流域面積の大きい木津川での精度は変わらず,流域面積の小さい桂川および鴨川で推定精度が向上した.また,同支川群の氾濫による地先の100年確率浸水被害額を推定した結果,鴨川周辺の浸水被害額に対して,支川総合確率法に基づく推定結果の方が参照値に近かった.支川総合確率法を用いることで,複数の支川の合流域を含む地先の水害リスクをより合理的に推定できるようになった.