2019 年 75 巻 1 号 p. 340-349
平成30年7月豪雨では,広島〜呉間の鉄道・有料道路は甚大な被害を受け,その結果,鉄道による旅客輸送が不可能となり,自動車利用者が国道31号に集中し,大渋滞が発生した.そのため,鉄道に代替する公共交通サービスの構築が急務となった.自動車からの速達性,所要時間安定性を確保する方策として,道路空間を柔軟に活用した「災害時BRT」方式による災害時の公共交通サービスが供給された.「災害時BRT」による運行は,自動車専用道路上での転回や,自動車専用道路上でのバスレーンなど,これまでに導入されたことのない施策が関係機関の連携により早期に実現した.
本論文では平成30年7月豪雨時の広島〜呉間の交通対策について,主に供給面である公共交通サービス確保策の実践について記すとともに,その効果を検証することを目的とする.