2019 年 75 巻 1 号 p. 387-402
2018年7月豪雨災害により,倉敷市真備町を流下する小田川及びその支流の末政川,高馬川,真谷川の複数箇所で堤防が決壊し,真備町では1200haの地域が浸水し,多くの方が犠牲となった.本研究では,現地調査により浸水状況を明らかにした.また,河道の洪水流と決壊箇所からの氾濫流を同時に解く包括型氾濫解析モデルを用いて,氾濫シナリオを検討した.解析では,最初に,決壊を生じさせない条件で解析を行い,氾濫開始時刻の推定を行い氾濫シナリオを検討した.次に,決壊させた条件で解析を行い,氾濫水の挙動を明らかにするとともに,解析により得られた浸水深は現地調査結果をよく再現できることを明らかにした.