2019 年 75 巻 2 号 p. I_1477-I_1482
2018年7月の西日本豪雨による高梁川流域における降水や洪水の観測データおよび倉敷市真備町地区の洪水氾濫域における浸水深や土砂堆積厚などの現地調査データに基づいて,洪水氾濫による真備町地区における土砂堆積の実態や氾濫水密度を論じている.各調査地点における土砂堆積厚はそこでの最大浸水深の1%以下で,津波によるものより薄い傾向にあり,破堤地点から離れるにつれて薄くなることを例証している.大胆な湛水域立体形状の仮定や土砂堆積モデルを導入し,土砂堆積厚の現地調査データを用いて,氾濫水の断面平均の土砂濃度や密度を概算している.概算された氾濫水密度は海水密度より小さいと判定されている.