2019 年 75 巻 2 号 p. I_193-I_198
水位計による河川水位のオリジナル観測データには,各種の異常値が含まれる.観測水位の異常値は,防災対応の判断や洪水予測システムに致命的なエラーを引き起こす可能性があるが,リアルタイムでの異常検知は十分に行われていない.本研究では,10分毎に観測所から配信される河川水位データを対象として,リアルタイムに異常値を検出する技術を開発した.機械学習による水位推定手法の技術を用いて,周辺の水位・雨量状況から対象とする観測地点の現時刻の水位を推定し,実観測データとの乖離度合いから異常度を算出した.さらにルールベースによる異常検知と組み合わせ,検知性能の向上を図った.九州管内の実データを用いて提案手法の精度検証を行い,既存手法と比較して高い検知性能を確認した.