2019 年 75 巻 2 号 p. I_73-I_78
平成30年7月豪雨の際に鹿野川ダムおよび野村ダムで異常洪水時防災操作が行われた肱川流域において,洪水後に適切なダム操作とは何かを問う議論が起こった.本研究では,洪水被害額の期待値である想定被害額を評価基準として,肱川流域の鹿野川ダムの操作ルールの検討を行なった.結果として,百年に一度の規模の洪水までを考慮する場合には,平成30年7月豪雨時の操作ルールよりも平成7年以前の操作ルールの方が想定被害額が小さいこと,既存ルールよりもさらに大規模な洪水を対象とする操作ルールを用いると想定被害額はより小さくなることが判明した.また,洪水規模に合わせてダム操作を切り替えることにしても,大規模洪水を対象として最適化した操作ルールのみを用いる場合と想定被害額はほぼ変わらないことも明らかになった.