土木学会論文集B1(水工学)
Online ISSN : 2185-467X
ISSN-L : 2185-467X
水工学論文集第64巻
積雪寒冷地における降雨を伴う積雪層の融雪特性に関する実験
守田 銀二今 日出人久加 朋子清水 康行吉川 泰弘
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2019 年 75 巻 2 号 p. I_925-I_930

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抄録

 降雨と融雪が重なる現象はrain-on-snow eventと呼ばれ,近年,世界各地で大規模な融雪災害をもたらしている.北海道においても,冬期におけるROS記録は各地に存在し,今後の降雨・積雪特性の変化が融雪災害に与える影響が懸念される.そこで,本研究では厳冬期のROS災害の特性を把握することを目的に室内水路実験を実施した.結果,融雪期の最高気温を想定した場合は,降雨に伴う積雪層のせん断強度低下と重量増加とが重なることで湿性雪崩が生じた.一方,本実験条件下で気温が10℃付近の場合は,降雨の影響は比較的少なく,雨は積雪層をゆっくり鉛直浸透し,流出した.ただし,降雨の影響は積雪層が新しい雪で構成されるほど大きく,北海道のような積雪寒冷地では,今後の気候変動に伴う積雪や降雨特性の変化が冬期の積雪層挙動や河川融雪災害に影響を与える可能性を留意する必要がある.

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© 2019 公益社団法人 土木学会
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