2020 年 76 巻 1 号 p. 223-232
令和元年東日本台風による利根川水系秋山川の破堤・氾濫被害について,発生直後の現地調査により被災状況を把握した.顕著な越流痕跡が確認された区間及び被災を激甚化させた2個所の破堤は,いずれも河幅減少区間であり,且つ両破堤部については共に橋梁の上流側袂部において発生した.特に比較的大規模な破堤となった赤坂町の海陸橋右岸における破堤では,河道湾曲の外岸側であること,河道流下方向に対する橋桁設置角度等の破堤リスクが複合的に作用して発生した可能性がある.被災住民へのヒアリングから両破堤の発生時刻が特定でき,それら諸条件を考慮した数値解析から佐野市街地における激甚な被災が秋山川からの越流・破堤による氾濫水のみでなく,近傍の菊沢川等からの越流水による影響を受けた複合的要因によるものである可能性が示唆された.