2020 年 76 巻 1 号 p. 352-359
本報告は,令和元年台風第19号を対象に,被害が生じた河川流域の豪雨,洪水氾濫状況,破堤した河川等を調査・整理し,豪雨や洪水氾濫の特徴を検討したものである.本検討から,(1)県管理河川では,豪雨域での流下能力不足や本川水位の上昇に伴う流下能力の低下により氾濫が生じたこと,(2)国直轄管理河川では,上流域の豪雨により比較的雨量の少ない地域で河道内水位が上昇し破堤氾濫が生じたこと,(3)地形特性によっては,氾濫水を流下させて河道へ戻そうとする氾濫原と氾濫水を一時的に溜め込む氾濫原があったこと,(4)関東地方で破堤が発生した地域は,氾濫平野で土地利用の多くは田畑であり,氾濫水が貯留される地形であったことから,遊水地的な役割を果たした可能性があること,などの特徴が確認された.