2020 年 76 巻 1 号 p. 424-436
本研究では,令和元年東日本台風による千曲川の洪水氾濫で被害を受けた長野市長沼と豊野の2地区を対象に,避難促進/抑制要因として知られる「事前の防災活動」と「被災経験」の質的な内容に着目し,避難行動との関連を明らかにした.文献調査と関西テレビ報道センターのヒアリング調査の結果から,避難に影響を与えた要因には両地区で差があり,その差の背景として,長沼は避難を判断する具体的な基準を決めていたこと,豊野は複数の水害経験と治水対策への参加により内水氾濫への理解を形成してきたことがわかった.また,両地区共に組織の中で「普段と違う状況とはどういう状況か」への共通認識を形成し,それを実際の行動に移すレベルまで計画を落とし込んでいたという共通点があった.