2020 年 76 巻 2 号 p. I_1177-I_1182
本研究では上流側に凸型となる鋼製フレームを持つ砂防堰堤を提案した.この新しい砂防堰堤の土石流の捕捉効果を確認するため,流木を含む土石流と鋼製フレームを持つ砂防堰堤の相互作用を考察できる新しい数値解析法を開発した.不透過構造,堤軸上に鋼製フレームが配置された構造,及び上流側に凸形状の鋼製フレームをもつ構造の3つのタイプの砂防堰堤を数値的に構築し,2014年に広島で発生した土石流がこれらの堰堤に衝突する数値実験を実施した.その結果,上流側に凸形状となる鋼製フレームを持つ砂防堰堤は,不透過型の砂防堰堤と比較し約30%も多くの土石流を捕捉できており,効果的な構造であることが確認された.