2020 年 76 巻 2 号 p. I_205-I_210
冬期の降水の雨雪,降雪の乾湿の判別は雪害のリスク評価を行ううえで重要な情報である.一般に地上気温を閾値として判別が行うことが多いが,精度を向上するためには降水粒子が落下する過程での熱収支を考慮する必要がある.このために上空の0℃高度が重要なパラメータとなる.本研究では偏波レーダーを用いて0℃高度を推定する手法を開発し,既往の手法に比べ誤差を増やすことなく0℃高度が地上付近にある場合も判定可能な事例が増えることを確認した.また,推定した0℃高度とレーダー反射因子から求める粒径を初期値として雪片の融解モデルの計算を行った.計算される降水粒子の含水率を用いることで,地上気温のみを用いるより,地上観測に即した降水形態の時間変化を表現できることが示唆された.