2020 年 76 巻 2 号 p. I_229-I_234
地表面温度は衛星観測から直接的に得られる物理量であり,モデルの計算結果を衛星観測値と容易に比較することが可能であるため,水・熱収支解析の精度を確認するための一つの指標として用いることができる.本研究では,陸面過程モデルSiBUCによる,ミャンマーやタイを含む範囲における地表面温度と,衛星データMODISの地表面温度プロダクトの比較を行い,モデル内のいくつかの入力データの改善を試みた.比較の結果,SiBUCがMODISに比べて基本的に地表面温度を過大評価している可能性が示唆された.また,地表面温度が気象強制力や地表面状態に関する入力データの精度に強く影響を受け,入力データの精度を高めることで地表面温度解析の改善が一定程度可能であることが明らかとなった.