2020 年 76 巻 2 号 p. I_253-I_258
格子ボルツマン法LESモデルを用いた都市大気境界層の大規模数値計算モデルを用いて,都市の自動車由来大気汚染物質を想定したスカラーの動態評価を行った.スカラーはパッシブスカラーを仮定し,その動態計算をLagrange的手法により表現した.本モデルを,移動排出源由来の大気汚染が深刻化しているジャカルタを対象に計算を実施した.その際に,ジャカルタで以前計画されていた沿岸巨大建造物GARUDAの有無による2通りの計算を実施し,それが下流の都市に及ぼす影響を評価した.地表面付近において,GARUDAの有無に由来する主流方向風速分布,粒子濃度分布に顕著な差は確認できなかった.一方,建物レベル(10[m] − 30[m])では,GARUDAの影響による風速の低下に伴い,粒子密度が増加していることが確認できた.