2020 年 76 巻 2 号 p. I_259-I_264
持続的かつ複雑なパターンを示す対流形成をモデルで再現することは,数時間先を対象とした線状降水帯予測において重要な課題である.対流形成の原因は局所的な温位勾配による渦度の発生と関連があると考えられる.本研究では傾圧場が対流を形成する効果を初期値へ反映するため鉛直渦度のデータ同化手法を考案した.運動方程式・質量保存則・エントロピー保存則の下で変分法を適用し,水平風速・温位・鉛直渦度の関係式を導出した.関係式を観測演算子に設定し正負のペアを持つ渦管を同化したところ,流れの場に依存するモデルの誤差共分散構造を通じて相対的に高い温位域と上昇流域が対応する分布が出現した.理想的な対流の数値シミュレーションとの比較から温位と上昇流の対応関係は深い対流の形成と整合的であり,本手法の有効性が示唆された.