2020 年 76 巻 2 号 p. I_289-I_294
本研究では農業活動に係る水利用を推計可能な水資源モデルH08を関東地域の利根川‐荒川流域に適用し,渇水時に近傍の河川水だけでは農地の水需要を満たすことができない灌漑水の不足ポテンシャルを算出し,実測の地下水位および地盤変動量との比較検討を実施した.推計した灌漑水不足ポテンシャルの時系列変動は月別の地下水位情報から読み取れる水位低下時期や年々の地盤変動量の推移とも整合し, また既往の渇水イベント時に地下水の汲み上げが多くなり,地盤沈下が進行したこととも整合する.推計値と地下水位変動間の関係を定量的に導くには課題が残るものの,地下水の揚水と揚水に伴う地下水位変動を間接的に予測するツールとして将来的にH08が利用できる可能性が確認された.