2020 年 76 巻 2 号 p. I_409-I_414
鉄道では,降雨時の列車運転規制を鉄道沿線に設置された雨量計の実況値を用いて行っている.降雨予測情報の精度が高ければ,列車運転規制にこれを活用することで列車運行の安全性をさらに高められる可能性がある.本研究では,運動学的予測手法である移流モデルと気象庁が配信する高解像度降水ナウキャストを対象として,算出される予測値を補正する複数の手法を検討した.雨量計による実測値を真値として,10分先予測値の積算雨量の精度および列車運転規制の発令予測精度から,各手法の精度向上効果を評価した.その結果,両予測手法ともエラーアンサンブルを導入した補正により予測精度が向上すること,補正後の最終的な精度は移流モデルの方が高解像度降水ナウキャストよりも高いことがわかった.