2020 年 76 巻 2 号 p. I_553-I_558
鉄道の車両基地等に留置中の車両を浸水が発生する前に避難させる判断に用いるために,1日程度先の河川氾濫の発生をリアルタイムで予測する方法を開発した.本方法では,車両基地等に浸水をもたらす河川について,車両基地等の最寄りの水位観測所における流域平均雨量の予測値を求めて,その値が計画降雨量を超過した場合に,河川氾濫が発生する可能性があると評価する.本方法は,河川水位が計画高水位を超過した5事例のうち3事例で,河川水位が計画高水位に達する1日程度以上前に予測できた.また,流域平均雨量の予測値が計画降雨量を超過した11事例のうち4事例で河川水位が計画高水位を超過し,超過しなかった7事例のうち4事例で避難判断水位を超過した.これから,本方法を車両基地等から車両を避難させる判断基準として利用することにした.