2020 年 76 巻 2 号 p. I_655-I_660
浸水想定区域の作成や公表は精力的に行われているが,各河川で堤防決壊の発生確率が高い箇所は不明瞭であり,堤防決壊リスクの検証・公表は殆ど行われていない.本研究では富山県全河川の降雨流出・洪水解析を行い,越水・侵食・浸透のポテンシャルを評価することで,県内河川の堤防危険箇所の相対評価を実施した.富山の一級河川である神通川,常願寺川,庄川,小矢部川,黒部川を対象に洪水解析を行うとともに,越水,浸透,侵食評価手法を適用し,その適用性を検証した.解析結果より,合流部での水位上昇による越水の危険性や湾曲部での侵食危険性を明らかにすることが出来た.また,評価した3つのポテンシャルを組み合わせることで,河川堤防危険箇所の総合評価手法を新たに提案し適用した.