土木学会論文集B1(水工学)
Online ISSN : 2185-467X
ISSN-L : 2185-467X
水工学論文集第65巻
気候変動下における治水対策事業費の簡易推計法の提案
久田 由紀子橋本 彰博木村 延明杉原 裕司松永 信博小松 利光
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2020 年 76 巻 2 号 p. I_697-I_702

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抄録

 気候変動下にある現在,わが国では毎年のように甚大な水土砂災害に見舞われている.水土砂災害に対する防災力を向上させる一つの手段として流域における強靭なインフラ整備は不可欠であるが,現在の社会情勢から科学的根拠に基づいた経済的かつ効果的な整備が強く求められている.本研究では,国土交通省「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」に提出されたダム審査資料に基づき,治水対策事業の中でも施工頻度が高く治水効果が期待される河川事業として,ダム建設,河道掘削,引堤,堤防嵩上げ,遊水池,放水路(捷水路),輪中堤の7つの対策事業に関するコストのデータを抽出・解析し,それぞれの事業コストを評価するための簡便な算定方法と推計式を提案した.また,福岡市内を流れる二級河川那珂川を対象として,気候変動下における将来の河川氾濫リスクの予測ならびに被害額を算定し,最も経済的かつ効果的と思われる氾濫適応策の組み合わせを検討例として示した.

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© 2020 公益社団法人 土木学会
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