2020 年 76 巻 2 号 p. I_799-I_804
都市域のグリーンインフラ技術として,土壌への貯留浸透により流出抑制を行う雨庭が注目を集めている.本研究では福岡市内のコミュニティカフェ,戸建住宅において,対象降雨に対し福岡市下水道計画以上の降雨を100%流出抑制することを目標とした,土壌浸透や間隙貯留等による流出抑制型の雨庭を開発した.実装後には現地導水テスト,水収支のモニタリングを行い,設計時推定と実際の流出抑制効果を比較した.カフェでの導水テストの結果,単位時間当たりの流出は0mmとなり,推定貯水高約100mmに対し約130mm以上貯水することができた.戸建住宅でのモニタリングでは,日降雨量297.6mmの実降雨における推定流出高約7.9mmに対し観測された流出高は約0.24mmであった.土壌浸透や間隙貯留を考慮して設計された雨庭は,豪雨に対して高い流出抑制効果を持つことが示唆された.