抄録
本学術情報では、コロナ禍で行われた新たな生態学教育の手法を概観し、今後どのように活用できるか、ポストコロナの生態学教育を展望した。COVID-19は新たな教育方法を考える契機になった。生態学教育でも同期型・非同期型のオンライン授業が取り入れられた。学生の顔が見えないまま授業を行うことに筆者は抵抗があったが、大講義においては、オンライン授業はコミュニケーションツールとしてむしろ有用であった。同期型でも非同期型でも、オンデマンド授業では、チャットなどのツールを介して学生と一対一のやり取りができるため、対面ではなかなかでない質問が多く寄せられ、クラス全体で共有することができた。生物を観察する実習についても、教員の創意工夫により、オンラインで行う手法が編み出された。冷蔵庫の中の野菜やコメの観察、スーパーで買ってきた魚の解剖、教員から送られてきたブロッコリースプラウトの苗の栽培、という3つの事例を紹介した。演習林や農場などに出向いての調査活動は、オンラインで行うには限界があった。各大学あらゆる感染対策を取ったうえで、対面で行われたケースが多かった。ただし、事前学習や事後学習についてはオンラインを活用した大学もあった。野外での調査活動においても、対面とオンラインの併用は、今後も授業形態の一つとなるだろう。最後に、コロナ禍で培ったオンライン技術のノウハウを、ポストコロナで活用する方法として、大講義での双方向性の担保、教室外からの講義、授業コンテンツの共有、緊急時の対面授業の代替の4つを提案した。