2020 年 76 巻 2 号 p. I_973-I_978
近年,上流からの土砂供給の減少等により河床低下が進行している河川は少なくない.河床低下が進行すると,堰や床止めなどの河川横断構造物の劣化や損傷を引き起こす.そのような状況下において大きな洪水が発生すると,河川横断構造物の下流で局所洗掘が発生し護床工が一気に流失するなどの急激な破壊が危惧される.本研究では,堰や床止めなどの河川横断構造物下流の局所洗掘及び護床ブロックの流出を対象とした鉛直二次元数値解析を行う.局所洗掘及び護床ブロックの流出は流況と土砂,護床ブロックが相互に作用しながら進行する複雑な現象である.そこで,本研究は,粒子法(Moving Particle Simulation)の一つであるE-MPS(Explicit-MPS)法と個別要素法(Discrete Element Method)を用いた液相・固相・剛体の混相流数値解析モデルを構築した.本モデルの床止め下流の局所洗掘現象及び護床ブロックの流出現象の再現性を確認するため,対応する移動床水理模型実験との比較を行った.その結果,経時変化の再現性に課題を残すものの,それらの現象について本モデルを用いて概ね再現できることを示した.