2021 年 77 巻 1 号 p. 111-123
本研究では,自己組織化マップを1954年~2020年の気象データに適用して,南九州地方の気象場のパターン分類を行った.32,696個の気象場をユニット数900,グループ数55に分類した.また2006年~2020年の解析雨量を用いて各ユニットにおける豪雨頻度を算出した.その結果,台風による豪雨災害はマップ上で比較的固まって分類された.一方,梅雨前線による豪雨災害はマップ上で幅広く分類された.また,球磨川流域での豪雨災害と鹿児島県での豪雨災害は異なるグループに分類されることが分かった.熊本県人吉地方に水害をもたらした令和2年7月豪雨と昭和40年7月豪雨の日時に対するマップ上の挙動を比較すると,両者は異なる挙動を示すが,豪雨が最も激しかった時間帯ではどちらも同じ気象パターンであったことがわかった.