2021 年 77 巻 1 号 p. 98-110
将来の気候変動は地域環境に様々な影響を及ぼすと危惧され,河川の流動や水質,生態系への影響もその一つである.本研究では河川水温の流域分布を再現するため,分布型流出モデルRainfall-Runoff-Inundation (RRI) modelに河道水温モデルを組み込み,現況と気候モデルの予測値を用いて計算を実施することで,気候変動が加古川の水温分布およびアユの生息域,遡上時期に及ぼす影響を評価した.
構築したモデルは加古川における水温の日平均,季節変動を概ね再現することができた.また,気象庁地球温暖化予測情報の予測値を用いて計算を実施した結果,将来期間の水温は現在期間と比較して約2.0°C上昇すると推定された.最後に,アユの生息への影響を評価したところ,生息域はより上流側に移動し,遡上時期は現在より早まる可能性が示された.