2021 年 77 巻 2 号 p. I_115-I_120
本研究では,地表面付近の2層構成の不飽和帯におけるフィンガー流の発生形態について,飽和・不飽和浸透流解析と,不均一地盤モデルを用いた2次元および3次元数値シミュレーションを行い,2次元場と3次元場の相違について考察した.加えて,シミュレーションによって得られた流速分布の統計的性質に基づいて,フィンガー流の発生形態に関する連続的/定量的評価を試みた.その結果,透水性が低く,保水性が高い上層では概ね均一な流れ場が発生し,透水性が高く,保水性が低い下層では明瞭なフィンガー流が発生した.2次元場と3次元場の違いは,流速分布の目視による比較は困難であったが,統計的性質に基づいた評価では,両者の相違を定量的に評価し得ることを示した.