2021 年 77 巻 2 号 p. I_121-I_126
本研究は,千曲川,梯川堤防で発生している堤防基盤漏水について,堤防基盤脆弱性指標tb*と堤防裏法先の土質特性を用いて検討した.漏水発生範囲は,裏法付近の水の集中度を表すtb*が,tb* = 0.30~1.40,噴砂発生範囲はtb* = 1.40以上で,裏法尻付近の基礎地盤土質の層厚,粒径特性に応じて漏水,噴砂が発生することを示した.tb* = 0.30より小さい値の範囲では,広域地下水型,常襲型の漏水発生が見られ,これらはtb*と地形,裏法先での土質特性から漏水形態を区分できることを示した.さらに,堤防弱点箇所の抽出のために,堤防脆弱性指標tb*と堤防基盤脆弱性指標tb* の関係図を作成することで,堤体漏水,基盤漏水またはその両方が一緒になった漏水による弱点箇所であるかを判定できることを示した.