2021 年 77 巻 2 号 p. I_1261-I_1266
平成30年7月豪雨災害で初めて地球温暖化に伴う影響が含まれていたことが報告されるなど,気候変動の影響が顕在化してきている.そのため,今後の治水計画では気候変動の影響を踏まえた検討が重要となるものの,その検討の基と利用する気象観測データにおいて,どの時期を境に気候変動の影響が生じていたか,既往の研究では明らかにされていない.そこで本研究では,全国の気象官署の降水量を利用し,降水量に関するClimate Change Indicesにより,国内で気候変動が生じ始めた時期を解明することを目的とする.その結果,国内を統一的に評価した場合,気候変動の影響の顕在化は,2014年頃を境に生じている可能性が示唆された.さらに,気候変動の顕在化は地域によって大きく異なることも確認された.