2021 年 77 巻 2 号 p. I_133-I_138
本研究では,阿蘇南郷谷を対象に,2016年熊本地震の水文環境への影響を評価するために,現地調査から得られた水文データを反映した水収支モデルを作成した.2015~2019年を対象に解析を実施した結果,地震直後の急激な地下水位上昇やその後の水位変化,塩井社水源の枯渇と回復過程の再現性から,地震により透水係数等の水理パラメータは上昇し,その後元の状態に戻っていないことが示唆された.また,地震の影響で上流からの地下水流入が増加した領域では,湧水量や基底流出量が増加したことが示唆された.