2021 年 77 巻 2 号 p. I_187-I_192
近年,洪水災害が頻発化しており規模も拡大してきている.この要因として地球温暖化による降雨増加があり,今後の対策として気候変動を踏まえた評価が必要である.特に富山県河川は急流で知られており侵食被害が多く,危険箇所を検出することは重要である.本研究では富山県河川流域を対象にd4PDFを用いた過去再現実験,2℃・4℃昇温実験の降雨流出計算を行い,流量増加の影響評価及び越水,侵食ポテンシャル評価を行った.非超過確率での比較の結果,150年確率で2℃昇温が約1.1~1.7倍の流量,4℃昇温が約1.3~2.2倍の流量となった.越水ポテンシャル評価では2℃・4℃昇温で比較的緩勾配な小矢部川の危険箇所が増加した.侵食ポテンシャル評価は,2℃昇温で急勾配な常願寺川で6割以上増加する箇所があり,4℃昇温では常願寺川に加え庄川と黒部川でも6割以上の増加が見られた.