2021 年 77 巻 2 号 p. I_199-I_204
本研究は,d4PDFダウンスケーリングデータを用い,現在気候と将来気候における外力の分析と侵食危険箇所の推定を目的とする.研究対象とした豊平川は,札幌都市部を流れる急流河川であるため,高速流が発生し,侵食が起きやすい元来水害に脆弱な条件にある.本研究では侵食危険箇所の推定を行うため,最初にd4PDFの現在気候予測データ3,000ケース,将来気候予測データ5,400ケースの流出計算を行った.次に現在気候と将来気候をクラスター分析により降雨空間分布ごとに分類し,外力要因の分析を行った.また,現在気候の流出計算結果を外力として豊平川河道を対象とした水理計算より侵食危険度を評価した.結果として,現在においても気候の不確実性による既往最大規模以上の洪水が起きることが推定され,河川管理上留意すべき侵食危険度の高い箇所が推定された.