2021 年 77 巻 2 号 p. I_205-I_210
世界的な水資源リスクを精緻に評価するため全球水循環モデルの高解像度化が進められているが,インフラ効果の実装方法の開発や検証が課題となっている.本研究では,全球水循環モデルH08を利根川水系・荒川水系に適用し,河川流量について高い再現性を確認した.構築したモデルを用いて,生活用水の取排水システムについて,都市域の広域的な上下水道施設を考慮した評価方法を考案・実装し,水需給についても再現性が得られることを示した.また,取排水システムの実装方法の違いによる流域の水需給の状況を比較し,広域的な上下水道施設を考慮しない場合,特に需要の集中する都市域において再利用量が過大となり,水資源逼迫度が過少に評価される傾向があるという知見を得た.