2021 年 77 巻 2 号 p. I_223-I_228
斜面による水分再配分の陸域水熱収支への影響が着目されているが,全球高解像度での斜面における水文諸量コントラストの効率的表現は難しかった.本研究では,陸域モデルにサブグリッド飽和側方流を陽に表現するスキームを実装し,さらにシミュレーション結果をサブグリッド地形を考慮して高解像度化する手法を開発した.斜面側方流の導入により,土壌水分量と蒸散量は全球平均の広い範囲で減少傾向にあり,蒸発量の減少した地域においては流出量の増加が見られた.また高解像度化によって丘と比較して谷の水分量が高くなるなど,斜面における水文諸量のコントラストが表現された.加えて,高解像度土壌水分衛星観測データとの比較を行い,高解像度データを直接活用したグローバルな陸域モデルの検証可能性を広げた.