2021 年 77 巻 2 号 p. I_229-I_234
本研究の目的は、陸域モデルの水分特性曲線を改良し、土壌パラメータの水平・鉛直分布を考慮することで、陸域水循環要素をより適切に表現できるか明らかにすることである。陸域モデルILSの水分特性モデルをClapp and Hornberger式(CH式)からより観測に基づいたvan Genuchten式(VG式)に変更した。また、最新の土壌データセットや、機械学習を用いた土壌伝達関数を用いて、土壌パラメータの水平・鉛直分布を全球0.5度解像度で推定した。各土壌スキームの改良によって、土壌水分量推定の決定係数は0.45から0.54に上昇したほか、流出量や河川流量も改善した。水分特性モデルをVG式に変更したことで、特に砂質では土壌の保水力が増加し、推定精度が改善した。また、流出量や河川流量などの水文諸量の再現性も向上しており、陸域水動態モデリングの精度向上に貢献が期待される。