土木学会論文集B1(水工学)
Online ISSN : 2185-467X
ISSN-L : 2185-467X
水工学論文集第66巻
流量特性を用いた全球水文モデルのキャリブレーションに関する基礎的検討
新井 涼允豊田 康嗣風間 聡
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 77 巻 2 号 p. I_247-I_252

詳細
抄録

 近年極めて精度の高い全球の流量特性マップが公開されており,これらは流量観測せずに水文モデルのキャリブレーションを可能とするデータとして期待される.本研究では,この流量特性マップの中において年流出高(QMEAN)とBaseflow index(BFI)に着目し,全球水文モデルのキャリブレーションに対する両者の有効性をそれぞれ評価した.なお,キャリブレーションパラメータは融雪係数(Cs)と土壌の飽和透水係数(Ksat)に設定した.結果として,QMEANを用いたキャリブレーションは難しい一方,BFIを用いたキャリブレーションは,流量観測データを用いたキャリブレーションに匹敵する良好な精度を示した.加えて,Ksatが流量の精度に支配的な役割を果たしていた.QMEANと異なりBFIの算定プロセスにはKsatが大きく影響するため,BFIを用いたキャリブレーションに成功したと考えられる.

著者関連情報
© 2021 公益社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top