2021 年 77 巻 2 号 p. I_535-I_540
近年,地球規模での気象の極端化が進行し,その影響で,各地で豪雨が頻発している.特に高度な下水道網のある大都市においても,未曽有の豪雨が降れば,河川の増水や内水氾濫の被害が発生する.本研究では,多摩川の流域にあたる調布市を対象とし,国土交通省のXRAINによって観測された2019年の台風19号の実降雨データを用いて再現計算を行った.また,当時の降雨条件において,対象の領域での樋管・樋門の取り扱いによる影響が,どのように生じるのかに関する検討も同時に行った.これに加え,大田区や世田谷区で起きた被害についても取り扱っている.この再現計算は,過去に行った東京都23区や川崎市・横浜市での計算の実績を,調布市にも適用したものである.