2021 年 77 巻 2 号 p. I_55-I_60
近年,我が国では,計画を上回る規模の洪水が頻発しており,将来の気候変動に伴う外力増大を考慮することが喫緊の対応課題である.本研究では,ダムの洪水調節機能に着目し,全国の主要な水系における洪水調節機能の現状把握,ダムの事前放流の実施効果,既存ダムの機能強化(ダム再生)を合理的に進める上での優先度評価手法について検討した.その結果,流域内合計相当雨量を用いて,治水ダムが有効に整備されている水系,治水ダムが十分整備されていない水系,利水ダムが整備されているが治水計画上は洪水調節効果が考慮されていない水系などの相違点を明らかにした.また,既往研究で治水耐力評価指標として提案されている比較定数αとダムの流域面積支配率の関係から,優先的に治水耐力増強を図るべきダムを抽出できる可能性があることを示した.