2021 年 77 巻 2 号 p. I_7-I_12
近年,洪水破堤氾濫に伴う甚大な水害が多発している.仮に都市域で大規模浸水が発生した場合,氾濫水は都市の低い箇所へ拡がる.都市には地下街や地下鉄などの地下空間が存在し,大規模地下浸水が生じた場合には,甚大な人的・経済的な被害が生じることが懸念される.さらに,現在d4PDFを活用した将来の洪水の状況が検討されており,そのなかで大規模洪水の発生も懸念されている.本研究では,将来予測の洪水流量を用いて,大規模洪水が発生した場合の浸水の様子を考察する.対象とする庄内川は,上流の多治見,土岐などの貯留型の氾濫域を有していることから,上流域の氾濫を考慮することによる,下流への洪水流量の変化と氾濫の様子を考察した.本研究では,上流域で氾濫が生じるが氾濫域からの戻りも生じるので,氾濫が生じることによる洪水流量の時間遅れが発生するものの,下流のピーク流量に大きな変化は無かった.また,下流域において.破堤が生じることで地下浸水が大きくなることが改めて示された.