2021 年 77 巻 2 号 p. I_883-I_888
本研究では,四胴型自動航行船を北海道火散布沼での水質観測に適用するとともに,定点で水質計の連続観測を行った.火散布沼は平均水深0.7mと浅く,ほとんどの観測点でアマモ類が繁茂しており,自動航行船のプロペラにアマモが絡みつき航行に大きな障害をきたした.そこでプロペラガードを開発し,アマモ等の植生が繁茂している浅海域での自動航行船技術に有効であることを示した.次いで,自動航行船による広域観測と定点での水質の同時観測により詳細な水質分布を取得した.沼奥では日射による海面との熱交換や淡水供給による影響を受け,低塩分水が長期にわたり分布していることが確認された.一方,沼口では外海由来の低水温・高塩分水の流入流出の影響を受け,特に降雨後は,沼口から沼中央の塩分が大きく変動していることが示唆された.