2021 年 77 巻 2 号 p. I_985-I_990
気温上昇による河川水温の上昇は,河川生態系に多大な影響を及ぼし得るため,将来的にどの河川区間でどのくらい水温が変化し得るのか把握する必要がある.本研究では,中国地方における10の一級水系を対象にし,合計126地点の水温の連続観測データを用いて気温と河川水温との関係を解析した.続いて,気温上昇に対する河川水温の増加率に対象河川の流域特性がどのように影響し得るのか検討した.その結果,河川水温への気温の影響の受け方が水系間で大きく異なっていることが明らかとなった.さらに,気温に対する河川水温の増加率は,水田・農地割合および建物用地割合に正の相関,森林割合との間に負の相関がみられ,土地利用の影響を強く受けることが明らかとなった.