2022 年 78 巻 2 号 p. I_55-I_60
気候変動に伴う豪雨の増加は,土砂流出量を増加させる可能性がある.そこで,気候変動が流出土砂量に与える影響を評価するため,土砂生産・供給・輸送の統合モデルに降雨量,地形データ,粒度分布を入力して流量と流出土砂量を計算し,北海道十勝川水系ペケレベツ川の上流部において気候変動による降雨量,流量,流出土砂量の変化を分析した.降雨量には大量アンサンブル気候予測データであるd4PDFの過去実験と4℃上昇実験を用いた.すると,降雨量,流量,流出土砂量はいずれも増加し,特に確率年100年の降雨量の増加率は1.7倍であったのに対し,流出土砂量は6.7倍に大きく増加した.その理由として流量増加による渓床から生産される土砂の増加,斜面崩壊の増加による土砂生産の増加が考えられる.