2018 年 29 巻 1 号 p. 13-18
Bifidobacterium 属細菌(ビフィズス菌)は、ヒトの小腸下部から結腸に棲息する共生細菌である。消化管はムチンを主成分とする粘液で覆われており、細菌に棲息の場を提供すると共に、栄養源としても利用される。したがって、ビフィズス菌とムチンとの相互作用は、腸内環境での生存競争に優位にはたらくと考えられる。本総説では、最初にビフィズス菌とムチンとの相互作用にかかわる様々な細胞外タンパク質の特徴について概説する。次に、筆者らが最近見出した糖質分解酵素や線毛を介したビフィズス菌の定着機構について述べる。