2022 年 78 巻 2 号 p. I_61-I_66
本研究は,気候変動下における急流河川を対象に,流量の時系列的変化と河床変動の時空間的変化に応じた侵食危険度の分析を目的とした.研究対象とした豊平川は,札幌都市部を流れる急流河川であるため,高速流によって侵食が起きやすい条件を有する.本研究では気候の不確実性を考慮するため,d4PDF降雨データを用いて流出計算を行った.次に河床変動計算を行い,河床変動及び侵食危険度の時系列的変化を推算した.最後に,降雨空間分布のクラスター分析を行い,大きな被害をもたらすことが予測される降雨空間分布を分析した.結果として,流出の特性により時空間的に異なる河床変動が発生し,堤防法尻部の侵食危険度の大きさが変化することが示された.また,豊平川中流部に降雨が集中した場合,侵食危険度が大きくなりやすいことが示唆された.