水工学論文集第67巻
150年連続ランを用いた日本の将来の水資源量予測
2022 年 78 巻 2 号 p. I_67-I_72
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2022 年 78 巻 2 号 p. I_67-I_72
気象研究所のRCP8.5シナリオに沿った気候モデルMRI-AGCM3.2Sの150年連続ランを用いて，日本の水資源量の長期変化を予測した．本研究では，日単位の水需給量を比較することで，気候変動による降雨の時空間分布の変化や連続した無降水・少雨の増加の影響により，将来気候下で，日本のどの地域で水資源量が逼迫するのかを評価した．その結果，特に水資源量の逼迫が予測される地域は十勝平野周辺と千葉県から福島県にかけての太平洋側，松本盆地周辺，大阪府周辺，瀬戸内海沿岸，そして九州沖縄地方であることが明らかになった．さらに，東北地方日本海側や九州地方では，年水資源賦存量（降水量-蒸発散量）は増加するものの，増加する時期の水需給バランスによっては増加分の水資源を利用できず，むしろ水資源の利用が逼迫する地域が確認された．
